夏越大祓と形代流し神事

霞ヶ浦

 厳しい社会生活の中でストレスが蓄積しがちな現代人が、その起因ともいえる心中の艱苦・汚穢を神々の加護を受けて祓い除け、健全な心身を蘇らせるのが現代の六月の祓の意義であります。
 大祓の儀は、太古伊邪那岐命が黄泉国から帰られたとき、日向の阿波岐原で禊祓をされたことを神話的起源とし、持統天皇の御代(680年代)から行われていましたが、大宝律令(701)によって制度化されました。それによりますと、六月十二月晦日に百官男女を祓所に集め中臣氏が祓詞を宣り、卜部氏が解除を行うとあります。その後、大祓は年に二度宮中で行われ民間でも盛んに行われました。応仁の乱により宮中の大祓が中断しても、民間ではむしろ年を追って拡充していきました。十二月の祓が引き続き元旦の神詣でがあるために廃されたのに対し、六月の祓は、蘇民将来という人が神から授けられた茅の輪で悪疫除去をしたという伝承(「備後風土記」)による茅の輪くぐりの行事や人形(形代)を神社に納めたり、川や湖水に流したりする行事も加わって、「夏越の祓」と呼ばれ、全国的な神事となりました。
 近代に至り、明治4年6月の布告により大祓式の旧儀が復活、昭和21年の官制廃止まで公的行事として続けられておりました。


修祓

 神社庁新治支部・新治地区神社総代会では、各神社独自に行われていた大祓の祭儀をいっそう意義あるものとするため、昭和62年より氏子から各神社に納められた人形を一括して霞ヶ浦湖上に流す神事を斎行して参りました。
 今年は土浦市のホテルマロウド筑波を斎場に7月9日(月曜日)に行われます。